

わが国で最初に家庭医療について議論されたのは1984年、厚生省の「家庭医に関する懇談会」においてです。くしくもその年に家庭医療学セミナーが産声を上げました。家庭医に関する懇談会の道のりは決して平坦なものではありませんでしたが、家庭医療学セミナーは1986年には家庭医療学研究会、2002年に日本家庭医療学会へと発展を遂げました。そして、現在は日本プライマリ・ケア連合学会として発展しています。
しかし、わが国における家庭医療は、欧米とくに米国の家庭医療に比べると診療範囲、診療レベルともに、個人差はあるものの一般的には相当の開きがあると言われています。これが、わが国において家庭医が戸籍を得ることができない原因の一つになっているのではないでしょうか。
静岡家庭医養成プログラムは、明日の家庭医(Tomorrow's Family Physician)の養成を目指しており、内科、心療内科、小児科、産婦人科、外科、整形外科、皮膚科等、ほぼ全科にわたる診療をレベル高く行えることを目標にしています。例えば、整形外科では日常のスポーツ外傷への対処やギブス固定ができ、産科では妊婦健診や低リスクの分娩が担当できるように研修を受けます。
これらの全科的診療をグループで行うので、一次救急や在宅ケアを24時間、365日行うことが可能であり、現在わが国で問題となっている小児・産科医療を含めた医療崩壊を再生させる一翼を担うことができ、高齢者医療で中心的役割を果たすことが期待できます。つまり、現在の地域医療での不足部分を補完する役割をもつことができると思われます。
そうすれば、地域医療システムが盤石なものになり、わが国においても家庭医が戸籍を認められるようになるものと考えます。
2011年5月10日記
静岡家庭医養成プログラム 統括指導医 津田 司
(一般財団法人家庭医療学研究所 理事長)






